令和2年度 事業報告書

I.蔵書構築

2020年度は大学7,064点(30,397,684円)、短期大学866点(3,717,706円)、専門学校資料175点(391.990円)を資産として受入れた。うち寄贈資料1,330点(378,927円)である。経年劣化等による除却処分は大学2,031点(10,000,000円)、専門学校4,476点(10,000,000円)で、いずれも蔵書合理化のため大規模となった。総蔵書数は大学318,530点、短大62,814点、専門学校14,127点である(視聴覚資料を含む)

Ⅱ.学習支援

1.教育との連携

大学新入生への図書館利用指導はゲーム感覚で図書館の使い方や資料の見方などが学べる本館オリジナルプログラム「図書館検定」をキャリアデザインⅠにて行った。2020年度は館内での密状態を避けるため、1コマに1クラスのみと制限したが全クラスで実施された。カリキュラムが異なる国際看護学部は「キャリアプランニング」で図書館の使い方などを指導した。キャリアデザインⅡでは希望のあったクラスに対して、雑誌の探し方や目次の読み方のほか、改めて図書館利用を指導した。
2年生はこれまで「キャリアデザインⅢ」にて「レポート作成」に焦点を当てた全体会授業と図書館ツアーを実施していたが、コロナ禍の状況のため、コンテンツ視聴による座学と館内から教室への双方向ライブ形式による館内ツアーを行った。双方向ライブ型館内ツアーは好評で、健康栄養学部2年生でも実施した。10月に実施した国際看護学部キャリアデザインⅢは参加人数を制限する、教室を分割するなどして、対面式で行った。
個別の授業では教員の要望により、学習内容にそった分野の情報入手などのガイダンスや課題作成のための案内を行った。対面授業で行う場合も事前にコンテンツ視聴を課題とする、大きな教室を使用する、ツアー人数を減らすなどコロナ禍に配慮した。

短期大学は新入生オリエンテーションが中止されたため、フォーラムAにて利用ガイドを配布するにとどまった。秋学期「キャリアプランニング」では課題にあわせてミニ特集展示「ビジネス書ピックアップ」を行った。今年度が初めての歯科衛生学科1年生は「論文、レポートの書き方を身につける」というカリキュラムに沿って指導した。

  • 教育との連携1
  • 教育との連携2
  • 教育との連携3
  • 教育との連携4

専門学校1年生は7月にガイダンスを実施した。

授業成果による作品展示を開催した。11月「コミック・イラストレーションⅡ」、12月「コミック・イラストレーションⅠ」の作品展をCELL中庭側ガラス壁面にて展示した。

  • 教育との連携5
  • 教育との連携6

大学学生(通学生)の1人あたり貸出数は4.33冊(昨年6.37冊)、1回以上貸出した学生の割合は39%(昨年57%)であった。短大学生は1人あたり貸出数は2.03冊(昨年2.45冊)、1回以上貸出した学生の割合は41%(昨年58%)であった。専門学校生は1人あたり貸出数は7.73冊(昨年7.63冊)、1回以上貸出した学生の割合は42%(昨年51%)であった。コロナ禍により大学および短大では遠隔授業の実施や内容の変更、登校や学内滞在が制限された影響により2020年度は図書館利用が前年に比べて非常に低調となった。

2.「広範な学び」の誘発

ミニ展示
CELLでは気軽に手に取って、その場で楽しめるような本を紹介するミニ展示コーナーを開設。大阪館ではCELLや伊丹館が所蔵するアニメや劇映画、ドキュメンタリーなどのDVDをミニ展示として紹介した。いずれも小規模のため、スピーディに展開することができた。

  • 「広範な学び」の誘発1
  • 「広範な学び」の誘発2

特集展示
授業や学内外の状況にあわせて所蔵資料による特集展示を行った。特集テーマに関するブックガイドとして利用できる展示カタログ(小冊子)は過去分もあわせて全タイトルを自由に持ち帰れるように用意している。展示図書のリストとコメントはWeb本棚「ブクログ」でも公開している。

  • 「広範な学び」の誘発3
  • 「広範な学び」の誘発4
CELL 「ベストセラーでたどる平成」(4月1日~7月末)
「Sweetsの世界 物語とレシピでめぐるヨーロッパ」(11月2日~)
「和菓子 ー見て楽しい、作っておいしい和菓子の世界ー」(1月7日~31日)
 ミニ展示 「リモート時代の自己表現 pt.1」(10月1日~)
「もじのないえほん」(10月19日~11月末)
「クリスマスの絵本」(12月1日~25日)
伊丹 「若い人に贈る読書のすすめ2020」(4月1日~8月末)
「その『?』に本が効く!!学生生活に役立つ本」(6月15日~8月末)
「読んでチカラにするーいま、できる学びー」(10月1日~1月末)
 ミニ展示 「ビジネス書ピックアップコーナー」(12月1日~)
大阪 「Let’s feel Curry ~読んで、作って、食べて、感じよう!~ 」(6月29日~8月末)
「Museum in the Library ~ 絵画に触れてみよう!~」(10月1日~)
「コンパクトな本読んでみませんか?~新書と文庫~」(2月1日~5月31日)
 ミニ展示 「実習に行く人必見!役立つ本いろいろ」(7月20日~)
「CELL、伊丹からの出張DVD」(10月14日~)
「CELL、伊丹からの出張DVD 第2弾」(11月17日~)
「CELL、伊丹からの出張DVD 第3弾」(12月8日~)
共通 「一期一会」

C102(会議室)運用開始
7月かねてから要望のあった大阪図書館内C102(会議室)の運用を開始した。目的はグループ学習やミーティングとし、60分単位で利用する。当面は定員を2~5名と限定し、換気や什器の消毒を徹底することとしている。

3.その他

管理栄養士試験応援メッセージ
大阪図書館では管理栄養士国家試験を受験する学生への応援メッセージを教員や国試対策室、研究室などに依頼し、2021年1月より受験・就職関係コーナーにて紹介した。

  • その他1
  • その他2

Ⅲ.ラーニングコモンズ

CELL、伊丹キャンパスとも学習支援センターや資格サポートセンターと連携しながら運営している。2020年度は対面授業と遠隔授業が並行したため、学内での遠隔授業受講スペースとして利用され、伊丹キャンパスでは図書館が受講用パソコンの管理を行った。

Ⅳ.研究支援

1.研究用資料の整備

教員から寄せられる研究用資料の入手希望には校費による購入、図書館相互利用制度による入手、レファレンスの充実、電子資源のトライアル制度の利用、電子資源の学外アクセス利用等、合理的な手段で対応し、研究活動の発展を支援した。

2.リポジトリの運営

本学の学術生産物をリポジトリを通してインターネット上で公開している。2020年度は『大手前大学IIEジャーナル第6号』、博士学位論文、博士学位論文内容の要旨及び審査結果の要旨(第9集)を公開した。2021年3月31日現在、「大手前大学・大手前短期大学リポジトリ」の公開コンテンツ数は大手前大学紀要712件、大手前女子大学紀要591件、大手前短期大学紀要71件、大手前女子短期大学紀要186件、CELL教育研究所論集50件、大手前大学IIEジャーナル85件、博士学位論文7件、公開講座講義録50件、会議・セミナー資料28件、その他30件である。

Ⅴ.社会連携

1.見学受入れ

7月見学(宝塚大学図書館職員2名)(CELL、大阪館)

2.トライやるウィーク、高校生の夏休み期間特別利用

新型コロナ感染防止のため、いずれも中止となった。

3.近隣図書館との連携

毎月初、西宮市立図書館と伊丹市立図書館に新着資料情報を提供

Ⅵ.その他

1.伊丹図書館閉館

2020年3月末、いたみ稲野キャンパスのさくら夙川キャンパス統合に伴い伊丹図書館を閉館した。すでにデータ整備や選書などに着手していたものの、本格的作業開始となったのは2月閉館以降であった。移転に先立ってCELLでは伊丹蔵書の受入れのためCELLは4万冊を学外倉庫に移転し、書架スペースを整備した。2000年以降に収集した資料、現在の教育内容にふさわしい資料など2万冊をCELLへ、千冊を大阪館へ、2.2万冊を学外倉庫へ移転し、重複や利用価値が低下したものなどは大規模に処分することとなった。移転にあたっては現物をデータと承合して確認のうえ、他キャンパスでの所蔵やデータミスなどを精査した結果、所在不明本は68,000冊のうち26冊となった。現物の移転および書架の配架が終了し、2021年4月にCELLが再開館した。
閉館に関連した大規模な除却処理を2021年度に控え、学園資産管理が正確を期すよう、またNACSIS-CATデータに齟齬がないよう、管理情報や書誌情報など多岐にわたるデータの確認や調整を継続中である。

  • 伊丹図書館閉館1
  • 伊丹図書館閉館2

2.新型コロナウイルス感染防止対策

2月末より各館にて換気を十分に行い(換気装置の点検、扉や窓の開放)、手指消毒液の利用促進、座席数の半減、感染防止ハンドブック(東北医科薬科大学病院)の配布、Webサイトでの注意喚起等の措置を行った。4月11日~5月27日学生のキャンパス立入禁止措置および窓口業務停止をうけて、3館とも休館した。その間もメールや電話による問合せ窓口を確保し、電子リソースの学外利用サービスや郵送による貸出サービスを実施し、遠隔授業や自発的な学習を支援した。(郵送サービス(5月7~28日)受付件数49件、貸出冊数150冊)通常、この時期に要望の多い図書館ガイダンスについては、動画版とpdf版のコンテンツを制作し配信した。
5月28日の対面授業開始以降については館内の密状態を回避するため、閲覧席の半減、カウンターや閲覧席間に飛沫防止パーティションの設置、手指消毒の徹底を行うほか、図書館ガイダンスでの館内ツアーではツアー人数を減らす、館内から教室への双方向ライブ形式の中継など、通常のサービスを維持するように努めた。cells(小教室)(CELL)およびC102(大阪館)はZOOM授業開講のための教員専用とし、学生利用は不可とした。パソコン使用にあたってはキーボードとマウスをラップでカバーすることを徹底、椅子や机はスタッフが巡回の際に消毒した。
夏休み期間は「来館学生の氏名把握、3時間以内の滞在、定員制限」を遵守しつつ開館した。
秋以降は本学「コロナウイルス感染防止のための活動制限指針」に基づきながら、利用希望に応えて適宜閲覧席の利用制限を緩和した。
なお資料の取扱いについては7月に発表された「図書館資料の取扱い(新型コロナウイルス感染防止対策)についてー人と資料を守るためにー」(日本図書館協会)を参考にしている。

  • 新型コロナウイルス感染防止対策1
  • 新型コロナウイルス感染防止対策2

3. CAT2020対応

8月より国立情報学研究所(NII)の図書館目録システム(NACSIS-CAT)がCAT2020として大幅に更新され、本館の図書館システムも対応するためアップデートした。CAT2020はこれまでのCiNii(NII学術情報ナビゲータ)の仕組みを合理化/軽量化するもので、利用者および図書館や学術機関への影響は大きい。本館では情報科学のこのような変化へも遅滞なく遅滞なく対処している

4. 研修、セミナー等

新型コロナウィルス感染防止のため、対面による学外研修会はすべて中止となったが、オンラインで行われた私立大学図書館協会研究大会(9月)、全国図書館大会和歌山大会(11月)、メール配信による阪神地区協議会研究会(2月)などに参加し、研鑽につとめた。

5. 『大学図書館ランキング』

『大学ランキング2021』(朝日新聞出版)の大学図書館の項目にて本館が全国の国公私立大学784校のうち54位にランクインし、過去最高の順位となった。順位は蔵書、受入れ、貸出(学生)、図書館費の指数の総合評価による。

6. 不具合、トラブル等

6月OPACサーバに外部から大量のアクセスが集中して負荷がかかり、動作の遅延や表示の欠損等の不具合が発生した。アクセス元が特定できたため、ブロックを行い、同日中に解消した。7月伊丹図書館空調機より水漏れし、調査の結果、作動させないことで対応した。

7.Knowledge Navigator賞・1stトライ賞

大阪図書館の閲覧スタッフチーム(丸善雄松堂㈱所属)が2019年度 Knowledge Navigator賞・1stトライ賞を受賞した。同賞は丸善雄松堂より、社会に対して貢献したチームや個人に贈られるもので、1stトライ賞は団体部門へ始めて応募したチームに贈られる。同チームの「利便性の向上を目的とした書架サインや常設コーナー設置、特集展示や国試応援メッセージ展示の企画などの「利用しやすい図書館」への取り組み」が評価された。

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