平成26年度 事業報告書

I.学習支援

1.蔵書構築

平成26年度、大学6,860冊、短大921冊の蔵書(視聴覚資料を含む。購入、寄贈、雑誌からの編入を含む)を受け入れた。一方、経年劣化等による除籍処分は大学99冊、短大771冊であった。その結果、総蔵書数は大学283,261冊、短大59,001冊となった。

文部科学省私立大学等研究設備整備費等補助金の交付をうけ、高額図書『プレイヤード基本コレクション』(Editions Gallimard 全99タイトル)を購入した。

2.教育との連携

大学は春・秋学期とも1・2年次必修科目「キャリアデザイン」Ⅰ~Ⅳにて図書館利用ガイダンスを実施した。短大は同様に1年次必修科目「フォーラム」にて図書館演習プログラムを実施。とくに春学期課題「私が選んだ『図書館の本』」に関しては全学生の成果(本の紹介文とお勧めコメントをA4用紙にまとめたもの)を伊丹図書館AVホール、閲覧室で展示した。

各クラスやゼミ対象のガイダンスは38回実施し、資料の準備や紹介、授業時間外での個別学生のサポートなど、教員から要請を受けた授業支援は43件であった。

  • 教育との連携01
  • 教育との連携02

卒論や論文型レポートに取り組む学生を対象にした映像コンテンツ『卒論・レポートのための図書館活用術』(約60分)を制作し、el-Campus経由によりいつでも自由に視聴できるようにした。各章は独立した内容になっており、必要なパートのみ視聴することができる。自習のほか、ガイダンスの事前・事後学習に活用されている。

  • 教育との連携03

ゼミナールや授業クラスによる授業成果をcell(小教室)や中庭側ガラス壁面にての展示した。それらの事前告知や事後報告などをCELLfacebookページを通じて公開した。
とくに図書館学課程が主催する『疎開した40万冊の図書』上映・講演会に協力し、同課程有志学生による特集展示「戦争と図書館」をCELL館内にて開催した。

  • 教育との連携04
  • 教育との連携05

学生(学部通学生)の図書館利用を前年と比較すると、1人あたり貸出数が6.95冊から7.81冊へと大きく増加し、全国平均値(私立大学7冊)を上回った。4年生については卒論必修化のためか貸出数が7.44冊から9.06冊、1回でも貸出実績のある学生の割合は8ポイント上昇し、過去5年間で最高値となった。また、図書館利用が活発化するに伴って本館が所蔵しない資料の入手希望が増え、図書館相互利用サービスが前年対比13.7ポイント増加した。短大学生については貸出実績割合が変わらないものの、一人当たり貸出冊数が0.2冊減少し、2.92冊となった。

学習支援連絡協議会が発足し、そのメンバーとなった。これにより学習支援に関する各委員会や各部署との連携をすすめ、グランドデザインを視野に入れた学習支援体制の確立にいっそう寄与できるようになった。

3.サービスの向上

図書館システムを3月に更新した。ローカルサーバ設置型からクラウドサービスに変更し、メンテナンスの負荷軽減を図ったほか、著者名やキーワード、出版年などによる絞込み、類似資料の表示、本学図書館とCiNii Books、CiNii Articles、国会図書館サーチを同時に検索しタブ毎に表示、スマートフォン対応表示などOPAC(蔵書検索)検索の機能の向上を図り、デザインを一新して高評価を得た。

  • サービスの向上01
  • サービスの向上02

図書館Webサイトにさまざまな修正、追加を行った。卒業生向けの利用案内ページの追加、データベース一覧やフロアマップの更新など、つねに新しい情報を提供し、わかりやすく利便性の高いサイトとなるように工夫した。

CELL公式Facebookページは学習支援センター、ITサポートセンター、資格サポートセンターとの共同により順調に運営し、増減はあるもののファン数は760を超え、大学図書館が運用するページとしては全国3位である。平成27年1月7日公開の教務課の吉川博行職員による「武雄市図書館見学レポート」は46人の「いいね!」を集め、過去最大級の人気コンテンツとなった。

  • サービスの向上03
  • サービスの向上04

授業内容や学習に沿ったテーマ、交流文化研究所主催の講演会や比較文化学会講演、文芸講演会との連携、娯楽・教養を中心にしたテーマなど、さまざまなテーマで特集展示を行った。内容を紹介する小冊子を作成したところ、講演講師や参加者から大変好評を博した。

  • サービスの向上05
  • サービスの向上06

利用者の意見や要望を調査するためアンケートを実施した。回答者に偏りをなくし、より普遍的な回答を得るため26年度は教務課および学生課の協力を得て、学年別のプログラム等にて配布した。集まった回答は今後の図書館サービスを充実させるための基礎資料として図書館運営に活かしていく。集計結果は図書館Webサイトにて公開する。

II.ラーニングコモンズ機能の強化

1.ワンストップサービスの強化

学習支援センター、ITサポートセンター、資格サポートセンターとの月例ミーティング、CELL公式Facebookページへのコンテンツ掲載などにより、CELL全体として相互の関連を深めた。新たにCE115に教職支援センターが設置され、教員志望学生にとってさらに利便性が高まった。設置に際しては国際交流センターや学習支援センターの協力を得て、学生が自由に利用できるcells(小教室)の数を確保することができた。

  • ワンストップサービスの強化01

2.cells(小教室)活用の促進

学習支援センター、ITサポートセンター、資格サポートセンターとの月例ミーティング、CELL公式Facebookページへのコンテンツ掲載などにより、CELL全体として相互の関連を深めた。新たにCE115に教職支援センターが設置され、教員志望学生にとってさらに利便性が高まった。設置に際しては国際交流センターや学習支援センターの協力を得て、学生が自由に利用できるcells(小教室)の数を確保することができた。

  • ワンストップサービスの強化02
  • ワンストップサービスの強化03

3.伊丹図書館の改修

新学部設置計画によるキャンパス整備のため、伊丹キャンパスのラーニングコモンズ設置計画は再び白紙に戻ることとなった。伊丹キャンパス全体としてラーニングコモンズや自主的な学びの場を提供するためには、学習支援連絡協議会メンバーを中心に具体的に検討をすすめ、大がかりな改修より実現可能なことから着手することを提案した。

4.「広範な学び」の誘発

特別講演「韓国における図書館情報学の研究、教育の現状と課題~共同保存書庫事情にも言及して~」(講師:啓明大学校文献情報学科教授呉東根博士)に共催し、広報や運営に協力した。

  • 「広範な学び」の誘発01
  • 「広範な学び」の誘発02

トークライブ in CELLを6回開催した。読書遍歴を披露してくださった前川先生、出版記念でバルザック作品を解説してくださった柏木先生、東西の本の美しさを資料を基に示してくださった林先生、落語の滑稽さを国語学から解いてくださった鈴木先生など、教員の協力を得てバラエティに富む内容となった。開催場所であるCE104の収容能力に限りがあり、参加者は平均20人程度である。参加者内訳は学生と教職員のバランスもよく、少数ながらも学外者の参加もみられた。また毎回、テーマにそって特集展示を企画し、収蔵資料の紹介と活用促進に努めた。

  • 「広範な学び」の誘発03
  • 「広範な学び」の誘発04

III.研究支援

1.研究用資料の整備

教員から寄せられる研究用資料の入手希望には迅速に対応するほか、古書店の活用や関係先への寄贈依頼など、できる限りの方策により応じている。購入不可の資料については図書館相互利用(ILL)にて国内外の図書館に依頼し文献複写や現物の取寄せを行っている。また、国立国会図書館提供のデジタル化資料は「デジタル化資料送信サービス」を通じて入手できるよう同サービスを導入した。

価格上昇が著しい雑誌、電子ジャーナルやデータベースは本学の教育分野および教員の研究分野と照らし合わせ、より現状にふさわしいものとなるように整備した。

2.リポジトリの運営

平成27年3月31日現在、「大手前大学・大手前短期大学リポジトリ」の登録コンテンツ数は大手前大学紀要554件、大手前短期大学紀要60件、CELL教育研究所論集23件、博士学位論文4件、公開講座講義録18件、FD/SD宿泊研修プログラム報告書から14件、その他25件である。

IV.社会連携

1.第14回公共建築賞 近畿地区優秀賞受賞

「公共建築賞」とは社団法人公共建築協会が公共建築の向上を目的として建設省(現:国土交通省)と全国知事会等の後援のもとに設立したものである。メディアライブラリーCELLは建物の優れた設計(株式会社日建設計)と施工(株式会社大林組)に加えて、竣工後の施設管理や保全(主に本学図書館)が良好に行われていることや地域社会への貢献や文化性が高いことが評価されて受賞の運びとなった。

  • 第14回公共建築賞 近畿地区優秀賞受01
  • 第14回公共建築賞 近畿地区優秀賞受02

2.学外者の図書館利用受入れ

学生や教職員へのサービスを最優先できるよう、「学外者利用要項」等の規程を改正した。また、リサイクルブックフェアや美術館等の招待券サービスなども学内者の利益を損なうことのないように配慮した。

3.地元地域との連携

CELLにて中学生の社会体験プログラム「トライやるウィーク」を西宮市立大社中学校を受け入れた。今年度は先方の都合等により1日となり、図書・雑誌目録作業、カウンター作業、フロア作業とあわただしいスケジュールとなった。活動の様子はWebサイトやFacebookにて発信し、中学校側にも好評を得た。

4.学外への情報提供

図書館新築計画の視察や学習支援の事例調査のため、大学図書館や教員等が来館された。CELLの設計理念やおよび運用等について紹介と案内を行った。

平成26年 5月 九州国際大学図書館
6月 東京学芸大学図書館、愛知工業大学大学院生
7月 三重大学教員
12月 立命館大学教員
平成27年 2月 日本図書館研究会研究大会
3月 阪南大学図書館、奈良県立大学図書館
  • 学外への情報提供01
  • 学外への情報提供02

学外からの取材や掲載依頼をうけ、雑誌、フリーペーパー等に掲載された。また、cells(小教室)をテレビ番組の撮影場所として提供した。

  • 『公共建築』v.56(公共建築協会、2014.11)
  • 『防水ジャーナル』 v.46 no.2(新美樹社、2015.2)
  • 『C’z』(西宮大学交流協会、2015.3)
  • 『ナイトinナイト木曜日「ビーバップ!ハイヒール」』(朝日放送、2015.4.9放映)

V.その他

『大学ランキング2015』朝日新聞出版 2014.4の「大学図書館ランキング」の総合評価において全国761大学中103位となった。

閲覧業務を委託している丸善スタッフチームが「丸善・Knowledge Navigator賞」(主催:丸善株式会社図書館サービス事業部)を受賞した。同賞は丸善が業務受託する全国の図書館のうち優れた成果をあげたチームに対して授与されるものである。メディアライブラリーCELLチームは「論文・レポートライティング支援の挑戦:より専門性の高いサービスを目指して」というテーマのもとに「カイゼン賞」、伊丹図書館チームは「OTEMAE ITAMI 大改造計画!!」のもとに「チャレンジ賞」を得た。同じ大学に属する複数館による同時受賞は大変に珍しいとのことで、両チームが取組んできたさまざまな試みやその成果が高く評価された。

短大フォーラムにて実施している図書館プログラムについて「【報告】大手前大学・大手前短期大学図書館における実践報告-図書館プログラムを通して得た教員連携-」(共同執筆:守屋祐子、岡本玲奈)としてまとめ、『短期大学図書館研究第34号』に発表した。

このページの先頭へ戻る
現在のページのカテゴリ一覧へ
HOMEへ戻る