CELL
2015.07.07
【トークライブ in CELL】第18回: 好評につき!! ~ふたたび酒井先生が語る~「となりのトトロ」の心理分析」が開催されました。
2015年6月28日(木)にメディアライブラリーCELL CE104にて、第17回「『となりのトトロ』の心理分析」を聞き逃した方のために酒井健先生に再登壇をお願いしました。
当日は前回参加できなかった方だけではなく、もう一度詳しく聞きたいというリピーターの方もいらっしゃったようです。
「となりのトトロ」という慣れ親しんだ作品の具体的な場面をもとに「エディプスコンプレックス」「投影同一視」「移行対象」といった一見難しそうな心理学の概念もわかりやすくお話をいただきました。
また、「となりのトトロ」の新たな側面の発見にとどまらず、
「自分だったらどうしただろう、どんな気持ちだろう」
「周りにいる大人の立場だったら、不安に気づいてあげられるのか」
「子どもの見ている世界を否定せずにいてあげられるのか」
など自分自身や周りの人との関係に思いを巡らせるきっかけともなりました。
Q:登場人物の表情や背景の描き方など、そもそも宮崎駿は心理学的な観点を意識して作品を描いているのでしょうか?
A:心理学の理論にあわせてストーリーを作っているわけではないと思います。 それにそういう風に作ってしまうとかえって浅い感じになってしまうように思います。「となりのトトロ」に限らず、人間を丁寧に描いている作品であれば、やはりそこには人間のなにがしかの真実がよく現れていると思いますし、だから結果的に心理学的に分析することもできるのだと思います。それは心理学の理論は、現実の人間についての観察から生まれたものだからです。
Q:もしサツキとメイが男の子だったらどんなストーリーになっていたのでしょうか?
A:エディプスコンプレックスという側面からみると、「母の不在」という状況における「女の子と父親」という関係と「男の子と父親」という関係では、 異なった感情が働くと予想されます。男の子の場合をエディプスコンプレックス、女の子の場合はエレクトラコンプレックスと使い分ける考え方もありますので、やはり子どもの性別によって現れはずいぶん変わるでしょう。ただそれを作品としてどう描くかは作者の伝えたいことによってもまた変わると思います。
今回のトークライブにちなみ、メディアライブラリーCELLでは特集展示「文学・アニメ作品の心理分析」を7月末まで延長して展示しています。「となりのトトロ」だけではなく他のジブリ作品、村上春樹をはじめとした文学作品、慣れ親しんだ昔話など、心理分析的な見方をすることで、これまでとは違った側面が見えてくるのではないでしょうか? この機会にぜひご覧ください!
『「となりのトトロ」の心理分析』は、現在CELLの特集コーナーにて展示中です。まだ読んだことのない作品など、この機会にぜひ手に取ってご覧ください。
【場所】メディアライブラリーCELL 特集展示コーナー
※一部、貸出できない資料もあります。
※貸出中の場合、予約も出来ます!予約の際は、カウンターまでお願いします。